ゆとりのあたまのなか

思いついたことを書く雑記ブログ

スタァライト感想とか

劇場版スタァライト見ましたか?そもそもスタァライト見ました?

観てないならまずUターンしてスタァライトを見ましょう。2021年7月4日現在Youtubeで全話無料配信中です。お行きなさい。このエントリはネタバレを含むから。

www.youtube.com

 

スタァライト劇場版、初めて見たとき、ちょっとカロリーが高くてですね。

アニメ版の内容を忘れつつあったこともあって翻弄されるような視聴体験となりました。

それでも劇場版スタァライトの強烈な画面と演出には痺れるような衝撃がありまして。ちょっとこれは本腰入れて理解しておかないともったいないぞと思い、アニメ等一通り見直して2度目の視聴に臨みました。

結果、大変良かった。大変良すぎた故に若干の喪失感を味わってしまい、どこかに感じたことを残して整理しておかないと次に進めないぞと思ったのでこうして文書をしたためているわけですが。

アニメ版のスタァライトって若干の違和感があるじゃないですか。ざっくりいえば主人公の華恋ちゃんが幼馴染の転校をきっかけにレヴューに巻き込まれ、変化し、二人で輝くためにひかりちゃんを助ける(説得する?)っていうような筋なんですけど。

舞台のこと詳しいわけじゃないですが、芸事って基本的に目立ったもの勝ちの世界じゃないですか。いかに目を引くか、いかに注目させるかって世界ですよね。

そういう世界に会って、主人公の華恋ちゃんはあくまでもふたりで輝くために奔走し、スタァライトの原文からその可能性を見つけて達成していくわけですよね。

シナリオとしてよくできてますし、このシナリオは私も本当に好きですが、一方で、華恋ちゃんの舞台人としてのその立ち位置はどうなのか?という疑問符が残る終わり方でもありました。

結果的に華恋ちゃんは輝くんですけど、あくまでその輝きはひかりちゃんがいてこそというか。あまりにも我がないんです。

主人公に我がないというのは、アニメや主人公としてはともかく、舞台人として致命的欠陥なのでは?という疑問を持ちながら迎えた劇場版。

その欠陥に対してルーツを探り、向き合い、自分の考えの根っこになる部分を燃料として、自信を再生産し、答えを提示するわけです。得も言われぬカタルシスがありました。

アニメだけでも十分きれいに終わっていたところを、華恋ちゃんがさらに先に進むために用意された、これ以上ない続編だったように感じます。本当によかった。

華恋ちゃんのことばっかり書きましたけれども、レヴュースタァライトは9人の物語なので、ちゃんとほかの8人についてもそれぞれの見どころが用意されているんですよね。それぞれの感情や考えを演出に載せて展開されていくその他のレヴューも痺れるものがありました。まとまらないので各個に少しづつ。

 

・大場なな

火付け役というか発起人というか。今回は切り込み隊長みたいな役割でしたね。

電車があんな風に変形して舞台になるみたいなの、どうやって考えるんでしょうか。トンネル抜けて都会を走る展開もすごくきれいでした。

1対7という状況で大立ち回りを演じて、天堂さん以外星を落とすことに成功する恐ろしいやつです。ただ、色々見終わった後考えるとあの立ち回りの成功は不意打ちみたいなもんなので、あの段階でしか成功し得ない出来事だったのかなとも思います。

彼女自身はアニメ版で強烈な印象を残したキャラクターですけども、みんなが次に進むために進路を続々と表明していく中で、9人の関係性が変化していくことを誰よりも恐れ、たきつけるような行動を起こしたのかもしれません。お前全然自分の問題解決できてないやんけ!!

結果星見さんにぶん殴られて自身の問題点に気付くことができたわけですけどね。大場さんは想定内のことには強いけど筋から外れると弱い。データキャラの負け方だ…

 

・花柳香子

劇場版初回視聴時に、なんでこんなにクロディーヌさんに突っかかるんだっけ?となってしまった人。ある意味「アニメ見直さな…」となった張本人。

アニメ版見直してみたら、あったわ突っかかる要因。双葉さんが声がけしてたんだろうけどかなりクロディーヌさんと自主練やってるし、「今日からここに住む!」以降もクロディーヌさんの部屋に出入りしているあたり、甲斐甲斐しく世話をしてくれていた双葉さんを割合とられていた模様。挙句進路も自分に相談せずに決めている…

読んでもらえればわかる通り、シンプルに嫉妬なんですよね。それもこう、結構子供っぽい理由の。そういう感情は劇場版内でもしっかりと提示されています。

それでも、「あくまでもおまえのために」と説く双葉さんに対し、「本音さらせや」と詰める香子さんの迫力はすごかったですし、本音をさらしてくれた後は受け止め、自分の中のしょーもなさを自覚し認める姿は、美しくもありました。大人になったんだな…

 

・石動双葉

今劇場版演出大賞はこの人かなと思います。デコレーショントラックの前で啖呵切るところマジでかっこよかった。あそこばっかり見たい。余談ですが、石動双葉さんの声優さん、舞台での立ち回りがめちゃキレててすごいかっこいいです。そちらも是非。

香子さんのことは大事だし、香子さんのため、二人のためという意見も本音の一部なのでしょう。そこにうそはないものの、一番の本音はもっと感情的というか。かなりシンプル。「わがままハイウェイ」は正確に心情を表した名タイトルだと思います。一方通行、ご意見無用!という意思の強さが存分に表れていました。

香子さんvsクロディーヌさんなのか!?叩き直すのはクロディーヌさんなのか!?と思わせてからの、名乗り乱入も最高でした。初回はマジで何が起きたのかと思った。

この映画、画面の強さに惑わされがちだけどやってることはコミニケーションだぞと気づくことができたきっかけの人でもありました。

 

・露崎まひる

ママー!この人怖いよー!!ってなる人。ちょっと異色だった気がする。双葉さんに「腹が据わってる」とか評されてる当たり、徹底的にやる人なのかもしれない。

ちょっと待て、やめてくれと逃げるひかりちゃんに対し、目の前の舞台も全力で演じない人間が華恋ちゃんのところに行って何ができるんじゃいと詰めていく様はすごかったですね。もはや躾といった様相でした。

アニメ版で自身のプライドを獲得したのちに強さを獲得したからこそ、そういう少し疑問のある立ち位置だったひかりちゃんに対し、覚悟を定めさせる役割を果たせたのだと思います。舞台人として内面が一番成長したのはこの人な気がする。

 

・星見純那

アニメ版でも舞台版でも、なんだか若干の噛ませ感が否めなかった星見さん。舞台でもめがねを外さないわれらの委員長。

彼女の進路の方針、実に彼女らしいし、彼女に合ってると思うんですよ。彼女は今輝く方法じゃなくて未来により輝く方法をとっているので。何の問題もない。実際「何を清算しろと」って動揺してたし。

どんな役割があるんかなと思ったら親友の大場さんを叩き直すという。すごかったね。魂が震えました。

大場さんの見方、めちゃくちゃ即日的じゃないですか。常に今が最善じゃないといやだから、今しか見ないし、今輝ける方法をとれないのならもういいみたいな。挙句とどめは刺さずに自死をすすめる甘さもあり。

そういう部分に関して、偉人の言葉で心を奮い立たせ、それだけじゃなくあくまでもそれらを取り入れた自分の言葉として彼女が立ち上がる場面、ナンバーワン演技賞だったと思います。

高みに対して知略をめぐらし、前提条件から勝負をスタートさせるだけじゃなくて、何度跳ね返されても立ち上がり、泥臭く挑み続けることのできる執念をもった舞台少女であることを示す一連の流れは、大場さんを切り伏せるのに十分な説得力を持たせた場面でしたね。私は星見さんが活躍してくれてうれしい。究極、この映画の感想は「星見さんがかっこいい」だけでもいいと思う。

 

・天堂真矢

なんかこう、鏡花水月の掛け合いみたいなレヴューでしたね。

彼女自身は最初のレヴューで大場さんに星を落とされなかったあたりからも、覚悟が決まっている人なのであんまり課題がある人でもないと思うんですけど、ちゃんとキャラクターを使って天堂さんの課題を提示してくれるんですよね…すごい…

歌も踊りも演技も、すべてが完璧。終始強キャラとしての役割を果たし続けてきた彼女。極地として、与えられた役柄を完璧に反映するロボットのような器になることが自分の強さと説くんですけれども。

実際にそういう人がいたら見破れないとは思いますが、そういう演技は圧倒されるけど感動はしないかもしれないというのは、なんとなく感覚的に感じますよね。

クロディーヌさんにそんな気持ちを暴かれたのちの野性的な感情のぶつかり合いはとてもよかった。「あなたこれまでで一番かわいいわよ」に対する返しが「私はいつだってかわいい」だったのも最高。自身のある人は推せる。

実際天堂さんはかわいいんですよ。アニメ版で香子さんが戻ってきたときには誰よりも喜んでましたし、華恋ちゃんがひかりちゃんを探していた時、全然見当違いのところ(天堂さんの入る浴槽の中)を探していた際も、ちゃんと足を上げてあげたり。

そういうちょっとした隙みたいなものをみたいなと観客は思うし、そういう隙が演技をより魅力的に見せる部分もあるよね!という解を私は勝手に得たんですけど、映画がそういうことを伝えたかったのかはちょっとわかりません。

ただそうやって自分を完璧にコントロールして、一つ上の目線、次元に立っていた彼女が、意地になって張り合えるライバルを得たレヴューは、激しく美しいものでした。

 

・西條クロディーヌ

永遠の2番手ポジというか、そういう役回りになりがちな配役の人だと思うんですけど。幼馴染との関係をひっかきまわし、ナンバーワンの内面を暴きと、大活躍でしたね。

感情的になりすぎる、思ったことは口に出さずにはいられないなど、彼女なりの弱点はあるんでしょうけど、クロディーヌさんの場合はそういう部分を生かして天道さんを追い詰めたような部分があった気がして、そこが良かったです。

そんな風に対抗心をあらわにするからこそ、完璧超人然とした天堂さんのライバルとして立ち上がることができたのだと思いますし、内面をあらわにすることができたのだと思います。足りない部分を補い合っている、完璧な二人組だ…

 

・神楽ひかり

ある種無粋な話ではありますが、退学してロンドンに戻るくらい華恋ちゃんを突き放しておきながら、招集を受けて華恋ちゃんに何かがあったことを悟るとすぐに駆け付けるひかりちゃん。自身が弱さを吐露する場面でもわかるんですが、そういうところに弱さがあるのかもしれません。

ただ彼女の場合は華恋のファンとなってしまうことを恐れて退学しているあたり、舞台人としての覚悟を据えての行動なんですよね。そっちの方向では間違ってない。

それでも、おそらく一方的に、十分な説明をせずに退学した行動には志がなく、ただ目を背けて逃避するような行動だったのだと思います。そうした部分の弱さを、露崎さんに叩き直してもらうわけですが。

弱さを自覚した後の立ち回りは見事でしたね。華恋ちゃんの問題点を指摘し、舞台人としての自覚を促し、次に進むための覚悟を定めさせる。

超えられるのか、この私を!というような強いメッセージがありました。名乗りの演出も、シンプルで現実の舞台でも再現できそうなものが多く、より舞台としての意識を高めさせるようなものだったと思います。

 

とりあえず書きたいことは書いた気がする…これをやらないと次のことにてがつかない気がしたので、存分に書き散らかさせていただきました。

観てないけど読んじゃったって人、もしいたらぜひスタァライトを見てもらえればと思います。最短ルートはロンドロンドロンド→劇場版ですけど、できればテレビアニメ版を全話見たほうがいいと思います。何せ2021年7月4日現在無料配信中ですので。もう一度貼っちゃう。

www.youtube.com

長文にお付き合いいただきありがとうございました。以下はTwitterです。

twitter.com